言語パックの追加が簡単になったWindows 8
多言語への対応は現在のOSに欠かせない機能である。当初のWindows OSは言語リソースをプログラムに内包していたため、異なる言語を使用するには、その国専用のWindows OSを必要とした。Windows 9x時代の古い話だが、Microsoftの開発者向けソフトウェア開発者向けサポートサービスであるMSDNに参加していると、各国語版のWindows OSがCD-ROMとして送られてくるため、その管理だけでも一苦労だったことを覚えている。
もちろん言語リソースをプログラムに内包するということは、メンテナンスコストも各国語版の数だけかかってしまう。そのため同社はWindows 2000から言語リソースとソースコードを切り離す"シングルバイナリ"化をスタート。指定された言語で使用する書式や、通過情報などを切り替えるロケールとして「地域のオプション」が用意されるようになったのはご承知のとおり。
同様の仕組みは以前のWindows OSから用意されていたものの、プログラムと言語リソースが切り離されたという意味では、Windows 2000がその最初のOSと言っても間違いではない。ただし、ロケールシステムに表示言語は含まれていなかった。Windows 2000の場合、同英語版と同MUI(Multilingual User Interface Pack)が必要ながらも、MUIは企業ユーザー向けボリュームライセンスプログラムでのみ提供されていたため、エンドユーザーがシングルバイナリの恩恵を受けられるのは、Windows Vista以降となる(図01~02)。
図01 Windows 2000の「地域のオプション」。この時点では表示言語までは変更できず、英語版Windows 2000と同MUIが必要だった |
図02 Windows VistaおよびWindows 7では、上位エディション(同Ultimate/Enterprise)のみ言語パックの導入が可能なため、容易に表示言語を変更できる(画面はWindows Vista) |
このような経緯で言語リソースはWindows Update経由で配布されるようになったが、Windows 8では、コントロールパネル内の「Language(言語)」から追加/削除するように変更された。同アイテムを起動すると、現在使用中の言語が表示され<Add a language(言語の追加)>ボタンから他の言語を追加することで、表示/入力言語などの変更を一括して行うことが可能になっている。
手元のWindows 8 Developer Previewで確認してみたが、表示言語をサポートしているものは限られており、公式サイトのようにヒンズー語を追加してみたが、用意されていたのはキーボードレイアウトのみ。公式ブログのスクリーンショットのように表示言語は含まれていなかった(図03~05)。
なお、言語パックはオプションページに用意されたリンクから、ダウンロードを実行してからでないと使用できない。つまるところ、ユーザビリティを踏まえて分離していたダウンロード手順を「Language」に集約した形に変更したということだ。Windows 7では95種類の言語をサポートしていたが、14種類の言語を追加して合計109種類に拡充している。また、LIP(Language Interface Pack:言語インターフェースパック)の拡充も行われた。
そもそも言語パックは大部分のUIが翻訳されており、ユーザーの使用ライセンスが必要だ。一方LIPはパックに含まれた翻訳部分を表示し、未翻訳部分は親言語を表示するという仕組みである。そのLIPとして、Windows 8からはウイグル語やチェロキー語といった13種類のLIPを用意するという。
大多数のユーザーは日本語が使用できれば、多言語である必要はないだろう。しかし、複数の言語を使用する必要性のある方には、言語の追加や切り替えが一カ所に集約される仕組みを用いたWindows 8の優位性は高まるだろう。